2016年5月29日日曜日

Price and Value


お目当てのヴィンテージ品を見つけるべく北欧行脚しておりますと、たまに当時をうかがい知るための、貴重な資料も手に入れることがあります。写真は、デンマークのデパートや食器販売店などに配布されていた当時のパンフレット。NISSENブランドが掲示されているところを見ると、1960年後半のものになります(B&G買収まで)。ここで注目したいのが、当時の「販売価格」。写真左下の価格表では、例えば、Reliefティーカップは13.85 DKK (デンマーククローネ)。さて、日本円にして、どれほどのものだったのか…

IMF(国際通貨基金)の資料などを参照しますと、日本の対デンマーク為替水準は、1960年後半は 約52円/1DKK。ティーカップの価格は 13.85 x 52 = 720円。単純計算で「価格」だけ見れば、うわっっ安っ!…と思いがちですが、ここへ年代的、生活水準からの相対的「価値」が加味されます。
厚労省統計によると、日本では、1960年後半の大卒初任給は 約3万円、2015年は 約21万円。ざっと7倍の価値変動を充ててみると、720 x 7 = 5,040円 ...という現在の相当価格に(暫定的原価)。しかしここへ、当時の、今より困難な輸入状況と流通上の付帯経費の上乗せを想うと…あれ、そこそこ現行ヴィンテージ価格より割安感が出てきていたはずが、現在と変わらない、もしくは上回る数字が出る算段に…(^-^;)


古いものを扱っていると、たまに
「ああ~、タイムマシンがあれば、今ごろ必死に探しまわらずとも、あっさりと安価で手に入れ放題だろうに…」
という、とても不毛な妄想が頭をよぎることがあります。しかし、こうやって見ると、世の中そう甘くはない。舶来ものや希少品への"あこがれ"は今昔変わらず。見方を換えれば、北欧ブランドが半世紀にわたり、非常に安定的なクオリティを提案している証明とも言えそうですが…

以上、ちょっと乱暴なまとめ方はご容赦いただきつつ。北欧ヴィンテージの「価格と価値」について、でした。